2/17/2012

アメリカのフレキシビリティは実力者にのみ許されるのか

自分は機械工学科でナノテクを研究するという少々マイナーなことやってまして,ナノテクといえば学問が確立されている材料や電気や物理工学で勉強したほうがいいと思い,アメリカの博士課程に行くなら学科を変えようと思っていたわけです.それでいろいろな人に「学科を変えることができるのか」と訊くと「アメリカでは学科を変える人なんてたくさんいるよ.だから大丈夫さ!」と答える人が沢山いました.それと,自分は修士卒で留学しようと思っていたので「アメリカで博士号取ったら30過ぎちゃうんだけど....」と言うと「アメリカでは企業から博士課程に戻ってくる人もいるし,年齢で人を差別しないよ,大丈夫さ!」と言って下さる人も沢山いました.


これらの意見には同意できる部分もできない部分もあります.例えば学科を変える時に学部では物理や物理工学科で勉強して大学院で材料や電気に行くパターンは学部で理論をしっかりやって大学院で実験(応用)をやるという意味で非常に理にかなっているわけです.アメリカでは違う学科の先生の元で研究する例もよく聞きますが,材料の所属なのに電気の先生の研究室に所属して研究に対して材料的なアプローチを用いるというのも効果的だと思います.学科を変えることで活かせることがあるならどんどんすべきだと思います.

ただし,自分の場合は機械工学科でナノテクをやるというあまり効果的でないことをやってしまいました.機械は材料力学・機械力学・熱力学・流体力学というマクロの物理を扱うので基本的に学問が使えるのはマイクロの領域までであって,マイクロ流路やバイオマニピュレーションなどは有効だと思いますがナノの領域になるとあまり学問を研究に応用できることはありません.この点が機械工学科の今後の課題だと思います.

話が脱線しましたが,専門を大きく変えることやあまり関連しない分野に飛び込むのであれば相応の実力か努力がないといけないと思います.「俺は学力はある,ポテンシャルはある,だからあなたの研究室で研究させてください」と言ったとしてもその人よりも専門的なことをやっている人がいたらその人の方が即戦力で確実に利益につながるわけで,専門を大きく変えることはなかなか厳しいことだと思います.(年齢に関しては学部卒より修士卒の方が経験値があると思われて採用されるかもしれませんが,逆に言えば修士卒は研究実績がないとコイツ修士で何研究してたんだと思われるのがきついですね.年を取れば吸収力も落ちるので若い時以上の努力が必要だと思いますし.)

自分は博士から大きく分野を変更しようと思っていました.そのため東大のマテリアル博士課程の試験を受けて4月からは機械からマテリアルに所属が変わる予定です.研究のしかたに関する経験値はありますが分野としてはほとんど素人です.アメリカの大学院に出すときもそういったマテリアル系の分野,研究室を志望していたのでメールを出しても相手にされなかったりすることもあり,やはり専門を大きく変えることは難しいと思いました.

今回自分はバークレーの機械に合格しましたが(他は未だ通知なし),その研究室は自分の機械でやっていたこととマテリアルで学ぶ予定(というか既に少しだけ研究はしている)の内容の中間に位置するような研究を行なっているので,自分のやってきたことがプラスに働いて合格できたのだと思います.インタビューをスカイプで1時間半ほどしましたが専門分野の話なので向こうの話にもついていくことができましたし,修論の試問のような感じで対応することが出来ました.その結果今日合格通知のメールをもらうことができました.分野を大きく変えてしまうのは自分の今までの経験があまり生きないので,変えるときは少しだけ変えたほうがいいのかもしれない,というのが今回の受験の感想です.

確かにアメリカは日本より年齢や分野の自由度が高く,挑戦することが奨励・賞賛されるような環境があると思いますが,それが評価されるかどうかは結局実力次第であると思います.実力がないなら認められないし実力がないなら相応の努力をするしかないと思います.

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