1/28/2012

落合博満「采配」 自分を磨く方法は自分で考えよう


采配采配
落合博満

ダイヤモンド社 2011-11-17
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日本野球界という実力社会で選手としても監督としても結果を残してきた落合博満の新作.競争社会で結果を残すために落合博満が行なってきたこと,落合博満の哲学,コーチング術が記されている.

この本で一番共感したのは「俺のやり方はお前のやり方ではない」(P280)という考え方だった.新人選手が先輩やコーチに技術習得のアドバイスを貰うことはよくあるらしい.しかし,それが伸び悩む原因になり,才能を潰してしまうそうだ.自分の強みは何なのか,コンディションはどうやって整えたらいいのか,結果を出すにはどうしたらいいのか,それは個人個人で異なるのだから誰かの真似をしても上手くいかない.落合博満は著書の中で自分で考えて行動することの重要性を語っている.方法論は自分で考えろと言っているので自己啓発本としては良いのかわからないけど強く同意する.



自分もロールモデルがいればいいのにと思った時期はあった.ロールモデルを探しても自分と同じように博士課程に行く人は学科の1割にも満たないし,留学しようとしている人なんてもっと少ない.結構悩んだ時期もあったけど,結局どんなに自分と近い人間のいるコミュニティを探しても自分と全く考え方の同じ人間はいないので,他人を見るのはもうやめようという結論に達した.自分の強みは何なのか,それを生かすにはどうしたら良いかを自分で考えるしかない,今はそう思っている.

この一年くらいはずっと自分を見失っていたと思う.Twitterなどでは既に結果を残している人が数多くいらっしゃるのでベンチャーやノマドに憧れたこともある.でもそれも自分には向かないことがよく分かった.マルチタスク能力にも憧れてそれをやろうとしたけど,微妙な結果しか残せずこの一年間失敗し続けてきた.自分はマルチタスクに全く向かない性格なのでむしろ一つのことに集中したほうが結果を残せたと思う.留学準備でマルチタスクはどうしても必要になるけどそれでも色々なものに手を出しすぎた感はある.周りを真似してもうまくいかない,憧れは憧れであって自分には向いていない,そう思いはじめていた時期にこの著書を読むことができて良かった.

「自分の成長法は自分で考えろ」というのが落合博満の主張なので,落合博満の具体的な考え方は参考にしないほうが良いかもしれない.数値目標は高く持つとかは印象に残っているけどそれ以外はほとんど頭に残ってないし実践することもないと思う.自分の経験から学ぶことが一番効果的だろうし.

この本は自己啓発というより落合博満がどういった人物かわかる本として意味があると思う.落合博満は監督時代は「オレ流」とマスコミに言われ,WBCに選手を参加させなかったことや,日本シリーズで完全試合目前の投手を降板させたことがマスコミに批判されていた.それで自分もなんとなく良い印象は持っていなかった.でもこの本を読んだら落合博満という人物は非常に合理的な考え方をしているということがわかり,色々な面で共感したし,本当に好きになった.WBCについても納得のいく説明がされていると思うし(合理主義が嫌いな人はいると思うけど),完全試合の件もきちんと理由があって降板させたということが分かった.ドラゴンズが日本一になれたのも「オレ流」というよりは練習量を増やしたことと投手重視の戦法をしたことが勝因であって別に特徴的でもないのかなと思う.

というわけで,落合博満の哲学を知ることができるという意味でおすすめです.

2 件のコメント:

  1. 初めまして、偶然こちらに辿り着いてからちょくちょく拝見しております。
    今回の記事でロールモデルの話がありましたが、自分も無意識にロールモデルを探していたんだと分かり、はっとさせられました。
    現在私も大学院生なのですが、周囲とは若干進む方向、目指す生き方が違うために自信が持てずにいます。
    インターネットなどで同じような考えの人を探してもなかなか見つからず、本当にこれでいいのかと自問自答の日々です。
    でも、そんなものを探してばかりいても仕方ないんですね。
    自分で自分を認めて、行くべき道を決めるしかないんだと分かりました。


    「俺のやり方はお前のやり方ではない」
    いい言葉です。野球には全く明るくないのですが、この本は読んでみたくなりました。

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  2. おもちさん,訪問有難うございます.
    自分は周りに流されて志望大学を決めていて入ったら別にやりたいことがなくて遊んでばかりという時期がありました.その頃に初めて自分で考えなきゃまずいという事に気づきました.変わった趣向を持っている人はなおさら考えないといけないかもしれません.
    ロールモデルがいないことが幸か不幸かといえば,元からあるレールの上にそって鍛えたほうが実力はつくかもしれませんが,オリジナリティのあることがやりたかったらロールモデルがないことがむしろ強みになると思いますので,考え方次第という感じでしょうか.
    そして最終的には自分が納得できるかどうかが重要だと思います.多くの人が憧れるような生き方をしている人もいますが,自分は自分,本当にやりたいことをやったほうが良いと思います.

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