2/11/2011

日本の大学は国際化できるか

http://www.topuniversities.com/の大学ランキングを見ていたら東大がアジア1位から陥落していた.ちなみにアジアランキングは5位だった.世界とアジアで順位のつけ方が違うみたいだが,5位というのはちょっと驚いた.ちなみに以下データはすべてQS World University Rankingsより引用.


アジア大学ランキングその1
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これだけみると東大がぶっちぎりで1位である.なのにアジアで5位なのは次の表を見ると分かる.



アジアの大学ランキングその2
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各学問のランキングでは東大が1位だったのに,International Facultyは82位,International Studentsは34位となっている.これをどう考慮してランキング5位になったかはよくわからないが,この2点(外国籍の教授と留学生の割合)が足を引っ張っているのは確実だ.東大に限らず日本の大学は国際化が遅れていることがよくわかる(大阪大学のInternational Facultyは100位圏外だった).というわけで,今後は単なる研究実績よりも国際的かどうかという点も求められていると考えられる.


●そもそも国際化する必要があるのか

でもそもそも国際化する必要なんてあるの?という話もある.日本の大学が国際化できないのは明らかに言語の問題だろう.ランキングを見ると香港の大学の順位が高い.これは,香港の公用語が英語であることに他ならない.英語圏の教授や学生が引っ越してきても生活に苦労しないだろうし,授業も英語で行われていれば教授も学生も言語に不自由は全くない.3位のシンガポール国立大学も英語圏だから多国籍になりやすいと考えられる.日本は英語が公用語でないので学生や教授は日本語を覚えないと生活がまともにできない.短期の留学生なら日本語を勉強せずに英語の授業だけ受ければどうにかなってしまうが,入学する人は日本語ができていないとつらい.

表からわかるように東大や京大の良さは国際化ではなく研究レベルの高さによるものである.単純に留学生を増やしたりしても研究レベルが上がるとは思えない.世界中の良い学生はアメリカに集結してくる.アメリカの大学は世界中から学生を集めることで教育水準の高さを維持しているし,良い研究者が居れば世界中から引き抜くことで高い研究成果をあげている.世界中から頭の良い学生を集めるのに成功しているのはアメリカだけではないだろうか.それを日本ができるかというと難しいと思う.言語的な壁もあるし,文化も違うし,日本が特に優れている分野でないと人は集まってこないと思う.

(ただ,大学化の国際化は必須だと自分は考えている(後述))


●東大の留学生

平成22年の東大における留学生の割合(東大の統計より)は
修士807/6752=12.0%
博士1259/6141=20.5%
となっている.ちなみにMITはアメリカ人の割合が2割以下である.
最近留学生が増えているように感じる.個人的に留学生と触れ合う機会が増えているからかもしれないが...東大もランキングを見て「留学生を増やさないと」と思っているのかもしれない.

留学生に会うと必ず「なぜ日本を選んだのか」と聞くようにしている.すると「日本は綺麗な国」とか「文化が面白い」とか「奨学金があったので来た」といった回答をもらう.正直な話,「特定の研究分野が東大は強いので来た」という回答はほとんどない.彼らは日本が好きであって,日本の大学が好きなのではない(日本に来る前から日本語を勉強している学生もいる).残念だ.意識の低い留学生がたくさんいてもアメリカの大学のようにはいかないのかもしれないなと思った.

ただし,原子力専攻の留学生の回答は違った.シンガポールの学生は「うちの国には原子力専攻がない」と言い,学部がUCバークレーだった学生は「アメリカには原子炉を作っている会社がないから日本に来た.アメリカは学費が高いし,日本で学位を取ってアメリカに戻るつもりだ.」と言っていた.このような意識の高い学生がもっと日本の大学に集まるようになれば良いなと思った.ただ,いつまでも意識の低い学生しか集まらないのであれば,留学生なんてとらなくても研究成果は変わらないかもしれない.大事なのは優秀な学生と研究者をいかにして集めるかだと思う.



●今後どうしていくか
外国籍の東大の先生はあまり見ない.東大機械系(機械A)で言えば教授,准教授,講師合わせて59人いるが,外国籍の方は2人しかいない.割合にして3.4%.外国籍の教授が少ないのは日本語ができて研究実績もあって日本に定住したいと思う研究者が少ないからだと考えられる.これを解決するには以下の2点が必要だと思う.

・大学の英語公用語化
現在,授業は一部だけ英語で行われているが,これを全ての授業に適用すればいい.学生の理解度は下がるかもしれないが,教え方を工夫すれば伝わるだろうし,英語に慣れるにはこれしかない.理解度が下がるのであれば,資料は英語で作成し,話すのは日本語でも良いかもしれない.これなら留学生もついていけると思う.日本型の講義だと先生の話を聞いて試験を受けるだけだが,発表やディスカッションを英語で行うようにすれば英語をアウトプットする機会も増える.ぶっちゃけ学習なんて一人でできるから宿題だして勉強させて授業では議論とか発表とか実践を重視した方が良いと思う.授業だけでなく研究室の公用語も英語にすべきだろう.日本人しかいない場では英語を話す必要はないが,一人でも留学生が居たら英語を使うことを徹底すべきだ.こうでもしないと日本語が話せない学生・研究者が日本にやってくることはないと思う.

・地域の英語公用語化
生活において日本語が要らない環境を作ればもっと外国人は増えるはずだ.韓国は済州島を英語特区にすると言っている.日本も英語特区を作ってそこに大学,企業を設けて外国人が過ごしやすい環境を作ればもっと来てくれるはずだ.それができないなら,せめて大学周辺だけは英語だけで生活できるようにして欲しい.それもできないなら大学内の表示すべてに英語をつけてほしい.それくらいやらないで国際化できるはずがない...


●大学の国際化は必須

前述した英語公用語化はかなり難しい.でもそのくらいやらないとこれからの日本は発展していかないのではないかと思っている.

・社会が国際的な人間を求めている
大学の意思決定権を持つ大学教授がいくら英語アレルギーだから英語をやらないというのは,これからの日本のことを考えずに自分のことしか考えていない人で少なくとも東大の教授には相応しくない.企業は英語のできる学生を求めている.企業が求めなくてもこれからの世界では英語がアドバンテージではなく前提となる.大学は人を育てる場なのだから,研究や学習の効率が落ちたとしても英語教育に力を入れていかないといけない.学生が勝手に勉強すればいいという話ではない.

・日本の人材だけではこれ以上発展していけない
東大の研究水準をこれ以上あげるには海外とのコラボレーションや,海外の優秀な研究者を引き抜いていかないと無理だと思う.日本国内,大学内だけで優秀な人材を育てていくのには無理がある.アメリカにしか集まらない最高水準の留学生を日本に入れさせることができれば確実にレベルは上がるし,世界的に有名な大学教授を引き入れればさらに優秀な学生も集まってくる.


日本の大学が国際化できるかどうかは,英語を公用語にできるかどうかにかかっていると思う.それができなければ,日本の大学のランクは下がり,優秀な日本の学生が海外に出ていくだけだろう.今後の改革に期待したい.

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